ごあいさつ
病院の7割を占める許可病床数200床未満の中小病院は、診療所や有床診療所とともにかかりつけ医機能を持ちながら、入院医療を通じてわが国の地域医療に貢献して来ました。
一方、在宅療養支援病院は、2006(平成18)年度診療報酬改定で新設され、同じく許可病床数200床未満の中小病院を対象として、在宅療養支援診療所とともにわが国の在宅医療の推進に取り組んで来ました。
2013(平成25)年8月6日に公表された社会保障・税一体改革の道筋を示した社会保障制度改革国民会議報告書を受けて、その2日後の8月8日に発表した日医・四病協合同提言および同年11月18日の四病協追加提言では、2025年を目指した同改革の2本柱である地域医療構想の実現と地域包括ケアシステムを構築するために、かかりつけ医機能の充実・強化と地域包括ケアシステムを支える中小病院・有床診療所の必要性を訴えました。このうち地域包括ケアシステムを支える中小病院については、2018(平成30)年度診療報酬改定において、地域包括ケア病棟入院料・同入院療養管理料1および3により、病棟機能として部分的に実現しましたが、病院機能として確立するには至りませんでした。
その間に地域包括ケアシステムは障がい者や子どもも対象とした全世代・全対象型地域包括ケアに進化し、わが国が超高齢社会のピークを迎える2040年に向けて、地域共生社会を目指してさらに継続することになっています。
それに伴って地域包括ケアシステムを支える地域密着型の中小病院も、これまでの大病院との連携や診療所の在宅支援だけでなく、自ら内部の多職種のマンパワーを活用して、介護や福祉、保健、介護予防に取り組みながら、広く生活支援の担い手になるとともに、行政との連携や地域や医師会への人材派遣、さらにはまちづくりにも参画することが求められるようになりました。
とくに2020(令和2)年1月以降の新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、同感染症の重症患者に対応できる高度急性期大病院の必要性は広く認識されるようになりましたが、世界一の超高齢国であるわが国には、それと同時に地域包括ケアシステムを支える地域密着型の中小病院が必要不可欠です。
ここに公的に認められた中小病院唯一の病院機能である在宅療養支援病院をさらに発展させ、来るべき超高齢社会のピークを乗り切る役割を果たせるようにするために、一般社団法人日本在宅療養支援病院連絡協議会を設立いたします。
2022(令和4)年6月22日
一般社団法人日本在宅療養支援病院連絡協会 会長 鈴木邦彦